子どもの便秘                  ミキハウス HAPPY NOTE 2006春号掲載(一部加筆)

 育児には病気ではないけど「トラブル」ということはありますね。

乳幼児の便秘はそのひとつで、医者やお母さんが考えておられる以上に、極めて厄介な問題を含んでいると

同時に誤解も多々あります。まず、母乳保育児のようにねっとりした、あるいは水様の場合、数日たまっても

なにもする必要はありません。排便は数日に1回くらいで、体重増加も順調、機嫌も良好、母乳も良く飲み、離乳食

も順調です。このような場合、息んでいたらタイミング良く綿棒浣腸で刺激してやればいいのです。乳児の便は

通常、水様〜ねばねばのペースト状で、このように便が軟らかいと、また、消化吸収が良くて残渣が少ないと刺激

が直腸へ伝わらず、排便刺激がこなく、まだいきむ力も弱いのでて貯まってしまうのです。本当の意味での便秘で

はないといえます。こより浣腸という言葉も残っているとおり(今の若い方は「こより」といってもわからないようです

から綿棒と言い換えてけっこうです。)、周りの人が手助けが必要なのです。

綿棒浣腸ですがコツがあって、授乳、食後30分後くらいが一番腸の動きが活発になります。その頃刺激してみてく

ださい。間隔は3〜4日に一回程度を目安にし、ややいきんでいたり、おなかが張ったり、少し飲みが落ちたら、

でかまいません。タイミングと仕方が重要で、綿棒の先端部分をしっかり肛門内に挿入し、円を描くように動かし、

ピストン運動を加えます。一般にお母さん方は、とても優しく刺激をしていて、効果があるとは思えません。

 いっぽう、もう少し大きいお子さんで、硬い、あるいは大きいなうんちがでると出血し、裂肛になることもあります

し、さらに子どもの場合、痛いのがなによりの恐怖ですから無理してでも!排便を我慢するようになり、結局さらに

たまる、硬くなるという悪循環に陥ります。そんな状態で、幼稚園や学校へ行って、一日中もじもじしているばかりで

なにもできず、場合によっては教室で失敗して、それがきっかけで学校嫌いになるということもあります。

浣腸も、摘便も硬ければ出るときに結局痛みますから、それ自体を拒否して大暴れ、逃げ回るようになります。

このような場合は便を軟らかくすることがすべてで、排便をしても痛くないんだという自信をつけてやる必要がありま

す。食事療法、運動、マッサージなど基本的に必要ですが、それでだめなら、補助的な薬剤をおすすめします。

昔から使われているエキス剤や、漢方薬などはいずれも副作用が少なくスムースな便になるようです。

以上ですが、乳幼児のいわゆる便秘をあまくみていてはいけないという事です。排便の恐怖感に気づいてやらなけ

れば、やっかいな問題になるのです。

最後にひとつだけ気にして欲しいことは発育です、あまりに頑固な排便障害で食が細かったり、嘔吐を伴ったりして

発育が悪いようですと、先天性の腸の疾患も疑われますので、小児科を受診してください。