Q  2001年11月1日の乳児用清涼飲料水にアルコールが含まれている新聞報道(原文を最後に引用しておきました。)

に関し、いくつか問い合わせがありました。aqua

そのうちの一つ

先日新聞で「乳幼児のイオン飲料水などにアルコ−ル分が検出された」と言う記事が載っていました。

昨年から娘はミルクは全く受け付けず、このイオン飲料ばかり飲んでいました。

この春から上の子(5才が)が保育園に通うことになり役員になってしまったので会議の時など良くない事とは思いながら

静かにさせるために1日5本近くも飲ませてしまうことがありました。新聞の記事の中で「肝機能障害を起こすことがある...云々」と

書いてあり心配しています。病院で肝機能の検査を受けた方が良いのでしょうか?

A お返事です。

こんばんは。この件、我々もびっくりしました。ただ、実害がないということで、微量なのでしょうが、

相変わらず厚生労働省はいい加減ですね。

ただ、アルコールに限らず、イオン飲料は大量に飲む習慣はよくありません。そもそも、経口補液剤として脱水などには抜群の

効果があって作られたORSという飲料がもとになっているのですが、市販されおいしく調整されたものは下痢にすら逆効果なのです。

まず、歯科サイドからは虫歯の原因になるとされ、警告がでています。この時期に虫歯にならないような注意をしておくことが重要です。

歯に付着している不潔なものや食物の残りかすなどが歯垢を形成しますが、この歯垢の中にいる細菌類が砂糖などの

糖質から多糖類を構成します。そして同時に酸を生成しますが、この多糖類は産生された酸を多量に蓄積し歯の表面に停留させます。

歯の表面のエナメル質は酸に弱く、pHが5,5以下になるとカルシウム分が溶出し、溶けばじめます。

この歯の表面のpHの低下が長く続いたり頻回に起こると、虫歯が発生してくるのです。

で、多くのスポーツドリンク、果汁などは、かなりpHが低く、砂糖も入っていて、哺乳瓶などで長い時間かけて飲ませると

あっという間に前歯は虫歯になります。食事のあとやおやつのあとなどに口をゆすいだり、お茶や哺乳瓶で飲ますのは特に重要です。

また、ペットボトル症候群という言葉がありましたが、意外と糖分が多く、若年性糖尿病など、さらに肥満の原因になっています。

肝機能障害については、アルコールが含まれていることすら知らなかったわけで、よくわかりませんが、長期、大量に飲んでいれば、

あり得るかもしれません。機会があれば調べた方がいいでしょう。とにかく、テレビの宣伝とは裏腹に、

けっして体にいいものではないのです。徐々に薄めていって、白湯や、お茶で満足するよう慣らしていきましょう。

 

市販されている一部の乳児用清涼飲料水にアルコールが含まれていることが三十一日、大阪府立消費生活センターの調べでわかった。

現時点で健康被害の報告はない。香料を溶かすために使用しているエチルアルコールがその原因とみられ、センターから連絡を受けた

日本ベビーフード協議会(東京)は、メーカー各社に原料を転換するよう通知した。

センターによると、今年六月、同府高槻市内の二十代の母親から「生後五カ月の男児に市販の乳児用清涼飲料水を飲ませたところ、

顔が赤くなった」との相談があった。指摘のあった商品を含む府内で市販されている九銘柄の乳児用清涼飲料水を任意で選び、

成分を分析したところ、すべての銘柄で最高:二〇OPPml最低九二PPmのエチルアルコールが検出された。指摘のあった銘柄は

最高濃度だったが、六月にリニューアルされ、現在販売のものは四三四PPmになっている。リニューアル前の在庫品については、

メーカー側が回収した。最高濃度の飲料水三百五十"悩を飲むと、ビール大さじ一杯弱とほぼ等しいアルコール摂取量になるという。

センターでは「乳児の顔が赤くなった原因をアルコールと結論づけることはできない」としながらも、「乳児は大人に比べ肝機能が未成熟で、

乳児の体内ではアルコールが長く分解されずに残るため、肝機能障害などが起こる恐れがある」と指摘している。

厚生労働省では「乳児用飲料からアルコールが検出されたという報告はこれまでないし、基準値のようなものもない。

今一後、業界に対し指導するかどうか検討する」としている。(産経新聞2001/11/1)


Q 以前からあかちゃんの食べ物にかんする質問は多かったのですが、炭疽菌、狂牛病事件でこうした問題にかんする

   危機意識が高まっています。そこで今回は蜂蜜にかんするご相談をまとめて掲載してみました。

  ●義母が蜂蜜で炊いたりんごを6ヶ月の娘に1/4も与えたようです。火を通しているから大丈夫なのでしょうか?

   ●祖母が離乳食のときにサツマイモの煮たのを与えたのですが、後からその中に蜂蜜が入っていたことが分かったのです。

     食べた量は2口(1cm×2)です。ボツリヌス菌とかが心配です。病院に受診したほうがいいでしょうか?

   ●初めて相談させていただきます。下の子は11ヶ月ですが、今日はちみつクレヨンをかじっていました。

     パッケージには口に含んでも害はありませんと書いていました。1歳まで蜂蜜はよくないとききますが、

     クレヨンに含まれるミツロウはどうなのでしょうか?

   ●蜂蜜なんですが、1歳を過ぎれば与えても良いのでしょうか?今まではお菓子とかに蜂蜜の使用されていないのとか

     気にしていましたが、これからお料理とか、お菓子の砂糖代わりに蜂蜜を利用した場合、いかがでしょうか?

A 生物テロとしては、細菌(ペスト菌、炭疽菌など)、ウィルス(天然痘など)といった病原性微生物や

毒素(ボツリヌス毒素など)の散布などが考えられ、戦々恐々としていますが、蜂蜜と関連が深いのがボツリヌス、

乳児とくに生後6カ月以下の子がボツリヌス菌の芽胞を経口摂取した場合は、腸内細菌叢が成熟していないので、

少量の芽胞でも腸管内で発芽し、そこで菌が増殖してしまう可能性があり、そしてその菌の生産する毒素が小腸から吸収されて

末梢神経が侵されてしまうといわれていますが、一方、母乳を与えられている乳児早期での発症が少ないのも事実で、

何らかの免疫が関与しているとも言われます。

 こうして腸管で菌が発芽、増殖して感染し、産生された毒素によって「乳児ボツリヌス症」と呼ばれる病気が発生するわけです。

症状は3日以上の便秘が続いた後、哺乳力低下、筋力低下、呼吸困難などを起こして死亡することがあるといわれます。

その原因食品はハチミツであることが多いので、1歳末満の乳児にはハチミツを与えないように勧告されています。

過去に報告された最高齢は11ヶ月ですが、多くは8ヶ月で、それ以降は発症しないと考えられています。

ただ、今回、りんごやおいもと一緒に煮たわけですから、不活化していると思われますので、

(毒素は易熱性で、80℃、20分あるいは100℃、1〜2分の加熱で不活化する)大丈夫でしょう。

また、蜂蜜クレヨンは、蜜蝋が含まれていますが、蜜蝋は蜂の巣の主成分で、厳密には蜂蜜ではありません。

乳児ボツリヌス症は、有名な疾患で、業界も十分認識していますから、もし、蜂蜜が含まれているなら必ず、

1歳未満児には触れさせないよう記載があるはずです。(10 DEC 01)


Q 耳、耳鼻科的な質問は数多くあります。少しまとめてみたいともいます。

まず、耳垢、耳掃除のこと。

おかあさんの文章を引用します。

一才の女の子です。よろしくお願いいたします。いつも御風呂上りに綿棒で耳の水滴をふくようにしているのですが、

ここ2〜3日左の耳垢が濃い茶色のようになってきました。反対側は普段どおりです。特に痛そうではありません。

機嫌も食欲もいつもどおりです。熱もないようです。外耳炎や中耳炎だと痛いと聞いたのですが、風邪もはやっているので、

このくらいのことで病院に行くべきか迷ってます。

A お返事です。かぜ症状もなく、機嫌もよく掃除をしていたそうでもなければ放置してけっこうです。

耳垢は、外耳道の皮膚の代謝(耳垢腺、皮脂腺、汗腺分泌物)の結果できてくるわけですが、外からのゴミや、

ちょっとした傷(耳掃除で作ってしまう)などから出る滲出物などによって色は変わります。また、それらの侵入を防ぐ意味もあり、

時間とともに外へ排出するよう移動してはがれおちます。したがって、掃除は入り口付近を1−2ヶ月に1回するくらいで

いいとされています。あまり掃除をしすぎると、細菌に対する抵抗力を弱め、しばしば外耳道を傷つけたり、鼓膜を破ってしまうばかりか、

かえって耳垢を奥へ突っ込んでしまうことになるのです。どうしてもというときは、

専門医(耳鼻科)でとってもらった方が無難です(18 DEC 01)