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ご質問の内容は以下の通りです。

お母さんの気持ちを伝えるため、そのまま引用させていただきます。

 昨年の夏幼稚園でとびひにかかり一ヶ月半かかってやっと完治したと思っていたころ水いぼを発見まさか!!と思って

皮膚科にかかったところ水いぼだから取りましょう、ということで取っていただきました。

が当初ひとつだった水いぼが日増しに増えそのたびに取って頂くと言う事の繰り返しでした。

かなりの痛みらしく最近では私にもなかなかわきの下を見せません。

半年近くったた今でもまだ水いぼが増えています。初めは脇の下だけだったのが最近では太もものあたりまで拡がっています。

どんな病気なのか半年も説明のないまま繰り返しています。

水いぼはいつ頃治るのか私のほうが不安になってしまいこのまま体や顔中に広がるのではないかと不安ばかりがつのります。

お答えした内容をそのまま張り付けます。

この問題は長年大げさに言えば論争の的になっています。

原因はpox ウイルスMCV(伝染性軟属腫ウイルス)による感染症で、アトピーや免疫不全状態などと

関連してウイルス学的には注目されているのですが、私は小児科の現場で大騒ぎする問題ではないと考えています。

理由は、放置して何ら重大な合併症を起こしたり、まして死亡したりすることは決してない。

必ず、数年のうちに自然に治癒する。この二点につきます。

麻疹や、みずぼうそうや、おたふくのように他人に感染し、もし感染を受けた子が最悪,肺炎や、

脳炎、を併発し、後遺症や死亡するとなれば厳重に隔離、治療を要します。登園許可も慎重でなくてはなりません。

しかし、みずいぼはうつってもたかがいぼなのです。これがだめというなら、

風邪気味で鼻を垂らしている子も治療終了許可がおりるまで登園はだめと言っていいでしょう。

かぜの方が、こじらせばずっと深刻ですよね。

本を見ると、この項目はだいたい皮膚科医が担当執筆しています。

皮膚科は昔から一個できたときにとるのがベストといっていますが、現実、そんな時期には気づきませんし,

そのときはすでに目に見えない初期の感染もあり、おっしゃるとうり、また出てくるのです。

そして、皮膚科から、「何故とらなくてはならないか」という明確な答えがないのです。

ただ、放置するとある程度拡がるし、うつるからとしか書いてない。

うつってもいいじゃないというのが私の考えですし、多くの小児科医も絶対とれなんて言いません。

そのたびに皮膚をちぎるなんて事、とても勧められません。まして、集団生活が主になっている今日、

子供たちの少々のトラブルはお互い様。症状は、あっても痒みと、それにもとずくひっかき傷くらいですから

二次感染をおこさぬようかゆみ止め、消毒くらいしてやっておけばいいと思います。爪をきれいにして。

 ただし、痛みもなく確実にとりきれる方法、(硝酸銀とか、レザーとか電気的にとかも確実とはいえない)が

開発されたらとるにこしたことはないでしょう。

 もう一つ、ウイルスの世界は少しずつ変貌しています。MCVも重大な新事実が発見されないとは

いえません。その時はその時。こんなお答えでよろしいでしょうか。(1999−6−20)


 おたふくかぜはムンプスウイルスによる感染症で、一度かかると終生免疫が成立し二度とかかることはありません。

にもかかわらず、外来ではしょっちゅうと言っていいほど以前にもおたふくといわれた、

という子供さんがやってきます。これは、診断する医者が悪いと言っていいでしょう。

子どもで耳下腺周囲が腫れる病気はたくさんあり、あまりにも安易に診断をつけてしまうためです。

有名な病気ですが、診断は極めて難しいと考えて下さい。

私は、よほどはっきりした場合以外、疑わしきはすべて「違うかもしれない」といいます。

ただ、あっさり「おたふくでしょう」と言ったほうが簡単ですし、患者さんもその方が納得するようです。

そのへんの事情を説明しているとなんだか患者さんも「はっきりしない医者だ」みたいな反応を示されますし。

他の様々なウイルスによる耳下腺炎があり、さらにリンパ腺の腫れなどとも混同されています。

たびたびそのようなことがあった場合、少なくとも中学生になる前に抗体検査を受け、もし陰性ならワクチンを接種してやって下さい。

ご質問の中にもありましたが、思春期以降もしこの疾患に罹患すると様々な合併症があり大変です。

例えば、難聴があります。いぜんは、15,000−20,000人に一人くらいと頻度は極めて低いと言われていましたが、

ここ10年の報告によると250−400人に一人とそう稀ではないと訂正されています。これも、おたふくかぜそのものの診断が

正確でなかったためと思われます。(1999-7-26)


時折見かけます。そう珍しいものではありません。

専門的にはSENTINEL POLYPといって、肛門と直腸の境目が何らかの

原因(多くは硬いうんち)で離断され、5x5mm程度の皮膚が肛門の外へ向かって反転した状態で、

女児に多く、時計でいうと12時の場所にできやすいようです。

たまたま硬い便が出たときに起こりそのままになるのですが、お子さんのように特に痛み、出血等がなければ清潔にして、

あまりこすらないように排便後はシャワーで洗って、乾燥させておけば時間とともに消失します。

悪化させる要因である便秘などを起こさないよう食事内容や水分摂取、などに気をつけてやって様子を見ていてかまいません。


典型的なご質問を紹介します。まだ5kg、男のあかちゃんです。jirou

「おむつかぶれで赤かったところに、急にしこりのようなものができ、病院に連れていくと乳児ジロウで膿がたまっていると言われ、

切開することになりました。なぜジロウになったのですか?やはりおむつかぶれが原因でしょうか?

再発するとのことですが、いつまで続くものですか?何か予防法があれば教えて下さい。よろしくお願いします。」

肛門周囲膿瘍は、小児科外来でもよく見かけます、外科や皮膚科へも行かれるでしょうからけっして少なくないと思います。

乳児の肛門周囲膿瘍と痔瘻はほぼ同じ原因です。新生児から生後6ヵ月くらいに始まり肛門周囲に発赤、腫脹が生じ、

ついで皮下に膿瘍(おできのようなしこり)が形成され、痛みのために不機嫌となって外来にみえます。これが肛門周囲膿瘍です。

お子さんも典型的な経過でしょう。原因としては、この時期の赤ちゃんの免疫力が弱いこと、便の回数が多く

不潔になりやすいことがあげられます。肛門周囲膿瘍の炎症が慢性化して肛門周囲皮膚(二次口)と肛門小窩(一次口)との間に

瘻管(管、迷路のような道)が形成されたものが痔瘻です。男の子に圧倒的に多く、発生部位は肛門の側方がほとんどで、

単発が多いものの、多発のこともあり通常切開、排膿処置で治ってしまいます。

しばらく抗生物質を飲む必要があるかもしれません。切開、排膿後は、清潔にし、坐浴とし、マッサージ、圧迫を続け

さらなる膿が溜まらないようにし、治癒を待ちます。これらのことは、先生から指導があるでしょう。

ただ、稀には再発を繰り返す例もありますので、常に清潔を心がけてください。


お母さんの質問は以下の通りです。

はじめまして。さっそくですが4ヶ月の娘のことでご相談したいのです。

最近娘は便秘ぎみで3日に1度くらいしか出なくなってしまいました。

それまでは1日3〜4回も便が出ていたのですが。最初は離乳食が始まった為と思っていたのですが、

先日5日も出なくてとうとう浣腸に頼ってしまいました。便はねっとりとした黄土色の泥便で、

育児書で見てみると「ミルクを吐いたり食欲がない。

お腹が大きく張ってふくらむ。浣腸をするとドロドロの泥便が出る→先天性巨大結腸症の疑い」と

書かれてあります。ミルクは吐きませんが(100%母乳で育てています)最近少し食欲がありません。

暑さの為と思っていました。お腹はそれほど大きく張ってはいませんが、

5日出なかった時はさすがに張っていました、でも機嫌は良く、元気で苦しそうでもありません。

このような状態なのですが、小児科の診察を受けた方がいいのでしょうか?

以下の通りお返事しました。

初めてのお子さんかもしれませんので、一般論から。

育児書はもちろん読んでいただきたいのですが、小児の特徴の一つに、年齢相応の病気があるということ。

例えば、この病気が3歳になって見つかることはありませんし2−3ヶ月の子で麻疹にかかることは極めて稀。

ですから、育児書は年齢別に解説してあることが多いのです。

それと、責任問題になるので、極めて稀でも最悪の事態も書いてあります。

そして、お母さんたちはついついそこを読んでうちの子も!と思いやすい。

夜激しく泣くと腸重積もあります、と書いてあるとやはり心配になってつれてこられますが、

夜泣きであったり、単なる便秘であったり。

で、本題に入りますが、便秘とは、便が硬くて出ない、排便時に痛み、出血したりするものをいい、

お子さんの場合便は泥状なのですから便秘ではありません。

乳幼児の便は、もともと軟らかく、直腸に刺激が伝わらず、排便を促す刺激が伝わりにくく、

また刺激が伝わってもりきむ力も弱くたまりやすいのです。

「最近」というのがいつ頃からかですが、暑い時期は体内の水分が失われやすく、便が粘っこくなり出にくくなります。

おっしゃるとおり、暑さで食欲も多少落ちます。十分水分をとり、適時綿棒で刺激して出してやってください。

適時とは、本人がいきんでいるとき、あるいは哺乳後20−30分後くらい。

タイミングが重要で、けろっとしてれば2−3日ほっといてもかまいません。

というわけで、便秘と勘違いして緩下剤を投与したり砂糖水や、果汁などを与え便を軟らかくしようというのは逆効果になります。

一方、この時期、日に5−6回便が出る子もいます。これも下痢とは呼びません。

やはりはっきりした排便刺激がなくでてしまう。要するにまだその子なりの排便習慣、リズムが確立していないわけです。

以上を頭において、対処してやればいいと思います。ただ、綿棒刺激は慣れてないと怖がって巧くできない方もいます。

一度小児科へいって習ってこられたらいいかもしれません。(24 AUG 99)